【怪談実話】母がいるので。

  • 2016.08.12 Friday
  • 23:11

 

こんばんわ、福永です!

そろそろ怪談の季節なので、

久しぶりに怪談投下します!

未発表の怪談です。

 

あと、こちらも好評配信中です!

『少女たちの怪談百物語 ミルクプール』

 

 

 

怖い話が苦手な方は、ご遠慮ください。

 

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『母がいるので』

 

 

私が大学時代、バイトが休みの日は、よくバイト先の系列店の居酒屋に飲みに行くことがあった。タダ同然でビールが飲めるし、見知った常連客と顔を合わせれば、おごってもらえるからだ。

 

あるとき、いつものように行くと、常連客のハブさんがいた。50代くらいの小さいおじさんだ。ハブさんと隣り合って飲んでいるうちに、「そういえば」と話してくれたことがある。

 

ハブさんは、安いボロアパートの一階の角部屋に住んでいる。10年くらい前に、隣に親子が引っ越してきた。40代の母親と、当時17歳の高校生の娘だった。

 

親子とはたまに顔を合わせるので、ハブさんは「元気か」とか「学校楽しいか」などと軽く声をかけるようにしていた。控えめな感じの親子ではあったが、ハブさんが悪い人ではないとわかると、それなりに返事をしてくれるようになったそうだ。

 

引っ越してきてから5年ほど経ったある日、母親が亡くなった。元々病気らしかった。娘はすでに就職していて、母の葬儀を出してからも、同じ部屋に住み続けた。

 

ハブさんは仕事が不定期なので、平日の昼間に部屋にいることも多い。ある日の朝、隣の娘が出勤するところにバッタリ遭遇した。

 

「おはよう、仕事は順調か」と声をかけると、娘はにこやかに「はい」と答えた。「頑張るんだぞ」と言って送り出した。

 

なんだかんだと雑用をしながら、昼になり、タバコを買いに外に出ようとした。すると、隣の部屋の玄関の戸が開いていて、宅配業者が荷物を抱えている。

 

宅配業者は「ここにサインを」とか、「重いですよ」などと言って、何者かに荷物を渡し、そそくさと去っていった。

 

ハブさんは、「ははん、彼氏でもできたのかな?」と思ったという。

 

しかし、その日一日、隣の部屋の物音に耳を澄ませていても、生活音が一切聞こえない。このボロアパートは、うっかり屁でもすると聞こえてしまうくらいに壁が薄いのだ。テレビもラジオもなしで、じっとしていれば、テーブルにコップを置くくらいの音は難なく聞こえてしまう。しかし、隣の部屋からは一切物音がしない。やはり誰もいないのか。

 

また、別の日。食料品を買いに出たハブさんは、出発するとき、隣の部屋の窓の外に、バスタオルが干しっぱなしになっているのを見た。そして、帰宅する頃に雨が降り出して「ああ、隣の娘のバスタオルが濡れてしまうな」と思いながら帰宅したという。帰ってきたら、バスタオルはそこになかった。

 

休日、娘が出かけるのを見計らって、「ちょっと」と声をかけた。

 

「どうしました?」

「あんた、もしかして…コレできたのか?」

「コレ?」

「男だよ。彼氏。できたの?」

「いいえ」

「だってこないだ、部屋に宅配きてたの、誰か受け取っていたし、洗濯物も誰か取り込んでるんでしょ?」

 

娘はきょとん、とした顔で答えた。

「母がいるので」

 

ハブさんは瓶ビールを私のグラスに勝手に注ぐ。

「俺の頭の方がおかしいのかな?って思うよね。だってちゃんと香典包んだんだよ?」

私は、溢れそうになったビールの表面をすすった。ハブさんは、薄くなった頭をかきながら、「参ったよね」と言った。

「んで、ハブさんはどう思うんですか?娘がやっぱり頭おかしくなっちゃったんですかね」

ハブさんは急に思いつめたような顔になって言った。

「いや、やっぱ…いるんだろうな」

娘はまだ隣に住んでいるという。

 

 

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ちょっとはゾクッとしていただけましたでしょうか…

こんな感じのお話が入っている『少女たちの怪談百物語ミルクプール』

来年、続編も作る予定なので、どうぞご期待ください!

まずは読んでみて。怖いから。

 

 

ということで、今日のところはこのへんで!

 

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【怪談】修学旅行の話。

  • 2014.01.26 Sunday
  • 15:30

こんにちわ。福永です。

ここ数日、青森もようやく氷点下から抜け出し、一時的ではありますが、雪解けの香りを感じることができました(^ω^)

このまま雪がとけて、春になればな…とは思いますが、そうは問屋が卸さない〜

もう一降り、二降りはするのでしょうか(遠い目)

さて、そんな本日は、予告しておりました、久々に怪談を書こうかと思います。怖い話が苦手な方は、ご注意ください。ちなみに、私自身の話です、実話です。

無断転載は禁止です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「修学旅行」 福永知世

これは、私が高校2年の時の話です。

私の通っていた高校は、一学年16クラスある大きな学校で、修学旅行は毎回、京都・奈良コース、と決まっていました。

この高校に長年勤めているM先生は、修学旅行の下見や引率で、何度も京都・奈良には行っているから、おもしろい話をしてあげるよ、と言いました。現代文の授業を早く切り上げて、教室のカーテンを閉めました。

M先生の話は、要約するとこんな感じでした。

 

京都のA旅館は、毎年修学旅行時に使っている。新館と旧館に分かれていて、その境目が段差になっている。ちょうど、段差の部分に食堂があり、生徒たちが寝静まった後は教員で集まって休憩することになっていた。その時も、M先生ら数人の教員が、食堂に集まって談笑していた。そろそろ寝ようという話になり、それぞれが自分の部屋へ戻っていく。食堂は照明が落とされ、非常灯のみの薄暗がりになった。

M先生はカーディガンを忘れたことに気がついた。もとから霊体験の多いM先生は、一人で戻ると何か嫌なものでも見てしまいそうで気が進まなかったが、同室の先生に「すぐ戻るからここで待ってて」と言い、走って食堂へ戻った。

食堂の入口前には、階段があり、その陰は物置になっている。モップや、瓶ビールのケースなどが無造作に置かれていた。廊下は少し下りになっていて、旧館側の食堂に降りて行くような感じだ。食堂には扉はなく、廊下から緑色にぼんやり浮かび上がる無人の食堂が見えた。

ああ、あった、あった。

カーディガンを確認すると、M先生はさっきまで自分が座っていた席に駆け寄った。

嫌な感じがして、振り返った。しかし、誰かがいるわけではない。入口前にある階段の陰が深い闇に感じた。

気のせいだ、早く戻ろう。

駆け足で廊下に出て、そっと後ろを振り返った。

階段の下の陰に、ぶらりと浮かんだ人の下半身が見えた。

その時先生は「あ、ここで昔、誰か首を吊ったんだ」と思った。

ほかの先生にその話をして、みんなで確認しに行ったが、もうその時には何もなく、何度も修学旅行の引率で来ている先生の話によると、かつてこの新館が完成する以前から、旧館では「いろんなもの」が「見られていて」珍しいことではない、ということだった。



M先生は「怖いよ〜、だから気をつけた方がいいよ〜。夜は早く寝るんだよ〜」と言って笑った。
耳を塞ぐ子、嫌がる子もいたが、私はその話を教室の一番前中央の席で聞き入っていました。

実は、この学校は、2泊3日の修学旅行のうち、旅館を二つ借りている。というのも、16クラスもあって一つの旅館では全員が泊まれないからです。全体を二つに分けて、それぞれ違うコースで見学に行き、次の日は旅館も交換して違うコースを回る、という感じでした。なので、私は初日がA旅館、次の日はB旅館、という感じで泊まることになりました。

修学旅行当日。
A旅館に到着した私たちは、大きな部屋に通されました。まるで宴会でもやるような大広間です。それを真ん中で簡易の壁で仕切って二部屋にし、廊下の奥の部屋が私たちのクラス、手前が隣のクラス、という感じで雑魚寝状態でした。旅館自体も新しく、「これはM先生の言っていた、新館なんだな」と思いました。しかし、確かに食堂で全員で食事しましたが、新館と旧館の境目だとか、食堂前の階段はなく、先生の言っていた建物とは違っているように感じました。そのことを友人に話すと、「あれは先生の作った話なんじゃないの?」と言われました。探しても、旧館らしき建物は見つかりませんでした。
ついにA旅館では何も起きず、次の旅館へ移動しました。
B旅館では、大広間ではなく、個室でした。予め決められていたグループに分かれ、ようやく少しリラックスできると言った感じでした。
ところが、このB旅館、入った時からなんとなく変な感じがしました。
正面入口は豪華な感じで、ロビー中央には川が流れていたり、きらびやかな照明で派手なイメージなのですが、部屋に入ると全く逆で、畳は毛羽立っているし、障子はツギハギだらけ。壁もほころびていて、お世辞にもキレイな部屋とは言い難いものでした。
「ねえ、なんかさ、ここって旧館なんだって」
友人があちらこちらから噂を聞きつけて帰ってきました。
どうやら、廊下をまっすぐ行くと、段差があり、そこから先は新館で、まるでビジネスホテルのような感じなんだというのです。温泉は新館にあり、私たちも新館に行きましたが、新館は新しくて全く別の建物をくっつけているという印象を受けました。修学旅行生は私たちだけなのですが、3階から下のフロアは一般客も泊まっているから静かにしなさいと言われました。私の泊まった部屋は6階でした。この旅館には食堂はなく、食事も個々の部屋でしました。
いくらボロい部屋でも、友人たちといっしょなので、その夜はとにかく楽しかったのを覚えています。
コンビニでスイーツを買い込んで、京都で放送されている見たことのない番組を見て、くだらない話で盛り上がり、温泉に入り、ひとしきり遊んで、布団に入りました。
布団に入ってすぐ、私は部屋のトイレに入りました。夜の11時過ぎ頃だったと思います。
トイレの壁一枚向こうは廊下です。
座ってじっとしていると、廊下から走る足音が聞こえてきました。
ぱたぱたぱた、という足音と、こどもの声がしました。
廊下はカーペット敷きですが、どうやら裸足で走っているようでした。きゃっきゃという笑い声からして、小学生くらいかな、と思いました。確かに、一般客も宿泊しているのでおかしくなはいのですが、平日だし、4階から上は学校が貸し切っているので、なんとなく違和感を感じました。
そのこどもは、私たちの部屋の前を通って旧館の突き当たり向かってに走って行ったようでした。
とはいえ、その後は何事もなく、とても楽しい修学旅行でした。

修学旅行から戻り、最初の登校日。
みんな現像した写真のお披露目をしていました。
ほかのクラスの友人が写真を持って教室に駆け込んできました。
「見て!見て!これ本物でしょ!」
「え?何が?」
見ると、友人とその友達が二人、ロビーの自動販売機の隣の白い壁のところで写っている写真でした。
「これ!」
友人に教えられるまでもなく、すぐにわかりました。
友人の肩に、手が乗っていました。
二人とも、お風呂用具を持ち、ピースしているので両手が写っています。
誰かが背後に立ち、後ろから手をのばしているのでしょうか。しかし、壁と背は離れているようには見えません。
肩に手を乗せられた友人は、
「いやだー、どうしようー」
と慌てている様子でした。
そこではっと気がつきました。
私は、こっそりM先生に聞きました。
「M先生? もしかして、A旅館って言ってたのって、B旅館のことなんじゃないの?」
すると、M先生はニヤリと笑って、
「なんでわかったの?」
と、言いました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ということで、久々に怪談を書きましたが、ブログなので砕けた感じで書かせていただきました。
このM先生にまつわる怪談は他にもあるのですが、それはまた別の機会に。
去年発売された『怪談実話コンテスト傑作選 痕跡』に、私の作品「耳の後ろに顎をのせる女」と「うたたね」が収録されていますので、こちらもどうぞ!

それから、創作のホラー作品が4篇を収録した同人誌『ドキュメンテイション』も、好評発売中です!
こちらは通販のみです。
ちなみに、こちらは「こわくねーだろ」と思って出したのですが、読んだ人から次々「こえーよ」という感想をいただいておりますです、はい。

あわせて、どうぞ、よろしくお願いいたいします!!ヽ(*´∀`)ノ

たまには怪談などを。

  • 2013.07.14 Sunday
  • 22:02
怪談の季節がやってきましたね!
わくわく!わくわく!
こちら青森では、あまりホラーなテレビ番組も放送しないので(民法テレビ局3局しかないので)、夏らしさってどこにあるんじゃ?ってことになりますが。
でも!
夏=怪談。
これは、もう私の中では鉄板なのであります。
夏休みは、もっぱら、ホラー少女漫画雑誌を買い込んで、引きこもって生活しておりましたし、稲川さんの本は何度も読み返したり、とにかく夏になると体が欲するんですよね。

ということで、今日は、怪談好きな皆さんへ、贈り物です。

以下は、私が体験した話です。
怪談が苦手な方はご遠慮下さい。
※無断転載禁止。



「あたま」


これは、私が高校生の頃の話です。
当時、宮城県仙台市内の女子高に通っていた私は、中学時代からの友人宅に遊びに行っていました。すっかり日も暮れたので、友人宅を出て自転車に跨り家路を急ぎました。
友人の家から私の家までは、徒歩で約十分、自転車だと三分ほどの距離です。長袖のTシャツ一枚だと若干寒いかな、という季節。空気は澄んでいました。

一つ目の角を曲がり、二つ目の角を曲がると、十字路があります。
そこのケーキ屋の角を左に曲がると、あとはまっすぐ行けば我が家なのですが、その十字路が見えてきたとき、違和感を覚えました。
何がおかしいのかはわかりませんが、何かいつもと違う感覚を覚えました。
その場に誰か通行人がいれば、安心して通り過ぎていたかもしれません。
しかし、その時に限って、誰も歩いていません。
なんだろう、なんだろう。
不安に思いながら、十字路に差し掛かりました。

そこで異変の正体を目視することができました。
ケーキ屋の斜め向かい側に、アパートがあります。
そのアパートは二階建てで、建物の中央に階段があり、両側に部屋があるタイプで、部屋数は全部で四つ。水色の外装で、可愛らしいアパートなのですが、何故か隣に同じ面積くらいの小さな公園があって昼間でも暗いので不気味だと思っていた場所でした。

そのアパートの階段のところに、黒髪の女性が立っているように見えました。
少なくとも、最初私はそう思いました。
階段はすでに明かりがついていて、ケーキ屋の照明に負けないくらいに明るかったです。
当時、私も黒髪ストレートの髪型をしていたので、同じような髪型をしている人がいるものだなあ、と思ったのです。
ところが、どんどんアパートに近づくにつれ、それがおかしいことに気づきます。
どのようにおかしいのか。

階段の手すり部分はコンクリートでできていて、建物に対して傾斜がついています。
こちらから見ると、立っている女性の服装や顔は見えず、後頭部だけがひょっこり手すりから見えているような形です。
ところが、その女性は立っているとしたら頭の位置が変なのです。地面と手すりの距離から考えるに、もし立っているとしたら、腰から上は手すりから見えているはずなのです。
つまり、頭しか見えない、ということは、段の上で中腰になっているか、立ち膝など、不自然な体勢をとらなければ、そうはならないということなのです。
しかし、もし、不自然な体勢をしていたとしたら、頭が微動だにしない、というのはおかしい。

頭は、全くその場から動きません。
動かないどころか、髪の毛の一本も揺れないのです。
長髪の人はよくわかると思いますが、髪の毛が長いと、少しでも頭が動けば毛先は大きく揺れます。風がふけば舞い上がるし、とにかく黙っていてはくれないのが髪の毛です。

私はその時、自転車に乗りながら、冷たい風を感じていました。
自転車に乗ってるから受ける風ではなく、確かに風が吹いていました。
しかし、いくら建物の陰になっている場所だからといって、あの頭の毛が揺れないのはどう考えてもおかしいと思ったのです。

私はその頭を凝視しながら、自転車をこぎました。
どんどんアパートに近づきます。

マネキンではないか、と疑いました。
美容師さんが練習用に使うような、頭部だけのマネキンが台か何かの上に置かれているんだろう。きっとそうだ。そう思うことにしました。

背中に悪寒を感じました。
空気がピーンと張り詰めて、その黒い頭部が異常なほどに存在感を示しています。
漆黒の髪の毛が、ひとつの塊のように感じました。
私はケーキ屋の角を曲がりました。

あ、やばい。

私は目をそらして、一気に走り抜けました。

実はその時、通り過ぎざま、今まで真っ直ぐアパートの正面から見ていたものを、角を曲がったことによって、違う角度から見てしまったのです。

頭は、私なんかよりずっと髪の毛が長く、そして肩がありませんでした。

私は怖くなって急いで家に帰りました。
追ってはこなくとも、あの頭が振り返ってこちらを向いたらおしまいだ、と思ったのです。

もちろん、確かめに行ったわけではないので、マネキンの頭の可能性はあります。
翌日以降、朝の登校時、帰宅時、アパートの前を通りましたが、そんなマネキンの頭は二度と見ることはありませんでした。


〜おわり〜



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なぜかこんなものによく出会う私の体験が載ってます!
真夏の怪談シーズンに、是非、読んでみてください〜!

思い出し怪?談

  • 2013.05.24 Friday
  • 11:56
 これは怪談と呼べる話なのか。

数年前、友人が亡くなった。
中学時代の同級生だった。
卒業してから仲良くなった人で、社会人になってからも飲みに出かけた。
いつものメンバーで集まってカラオケでオールする、という仲だった。

すごく真面目だけど、天然な感じの人で、
みんな大好きだった。

亡くなった知らせを受けた時、大掛かりなドッキリだと思った。
でも違った。

ただ、私は亡くなった彼女を見たわけではないし、
今でも電話すれば出てくれるような気がするし、
またいつか同じメンバーで飲みに行けるような気がしている。

しかし、亡くなった知らせを受けた一週間後。

当時の職場だったお好み焼き屋で、来店したお客さんを見て驚愕した。
亡くなった友人にそっくりだった。
もちろん、髪型や服装、細かく言えば仕草や顔のパーツなど、
それらは似ていない。

でも、その時は彼女に見えた。

偶然とは言え、これほど似ている人がいるものなのか。

隠れてお客さんをちらちら見ていたが、気を緩めたら涙が出そうでたまらなかった。

それから数ヵ月後、彼女の実家を訪ねようと連休をとった。

チビ丸を連れて、初の仙台行きを決めたのだ。

しかし、それは叶わなかった。

チビ丸が前日に突然吐き、断念。
救急病院に連れて行ったが、腸炎などではない様子で原因は不明。

翌日(出発当日だったはずの日)、今度は私が高熱を出した。
40°を超えるのは久しぶりだった。
それまで風邪をひいていたわけではない。
激しい頭痛と高熱。他に症状はない。それは二日間続いた。

これは、友人が「来るな」と言っているような気がした。
なぜかはわからない。
ただ、怒っているような気がした。

うなされながら、ただ、ひたすら謝罪した。

亡くなったことを認めなかったこと、まだ会えると夢見ていること、
生まれたチビ丸を見せてあげられなかったこと。

ごめんごめん、と言いながら泣いた。

彼女の仏前に供えるつもりだった日本酒は、まだうちにある。
お酒が好きだったので、地元の冷酒を選んだ。
彼女の実家にはまだ行けていない。

たまに彼女の写真を出してきては、チビ丸に紹介している。



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私の話も少し載ってます☆

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